中小企業における所得拡大促進税制の改組 – 平成30年度税制改正 –
中小企業における所得拡大税制の適用要件が簡素化されます。
これまでは、賃上げに関して3つの適用要件が設けられていましたが、平成30年税制改正で、賃上げに関する要件を次の1点に絞り込みました。
【適用要件】
【控除税額】
【適用対象】
青色申告書を提出する「中小企業者等」
ただし、適用除外事業者に該当するものを除きます。
< 「中小企業者等」の範囲 >
以下のような、法人・個人・組合等が該当します。
- 法人
(イ) 資本金が1億円以下の法人(ただし、大規模法人の子会社 、常時使用する従業員の数が1000人超の法人は除かれます)
(ロ) 資本を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1000人以下の法人 - 個人
(ハ)常時使用する従業員の数が1000人以下の個人 - その他
(ニ)中小企業等協同組合、農業協同組合など
< 適用除外事業者 >
「適用除外事業者」とは、基準年度(事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度)の所得の年平均額が15億円を超える法人をいいます。
【適用期限】
平成30年4月1日から平成33 年3月31日までの間に開始する各事業年度
【平成 30 年度税制改正大綱(抜粋)】
三 法人課税
1 賃上げ・生産性向上のための税制
(4)中小企業における所得拡大促進税制の改組
青色申告書を提出する中小企業者等が、平成30 年4月1日から平成33 年3月31 日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が1.5%以上であるときは、給与等支給増加額の15%の税額控除ができることとする。この場合において、次の要件を満たすときは、給与等支給増加額の25%の税額控除ができることとする。ただし、控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする(所得税についても同様とする。)。
① 平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が2.5%以上であること。
② 次のいずれかの要件を満たすこと。
イ 教育訓練費の額の前期の教育訓練費の額に対する増加割合が10%以上であること。
ロ その中小企業者等がその事業年度終了の日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもので、その経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明がされたこと。
(注1)上記の「中小企業者等」とは、中小企業者又は農業協同組合等をいう。なお、中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものを除く。
(注2)上記(1)の制度との選択適用とする。
(注3)上記(1)の(注1)から(注4)までは、上記においても同様とする。
※上記(1)の(注1)から(注4)
(注1)設立事業年度は対象外とする。
(注2)上記の「給与等支給増加額」とは、雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額をいう。ただし、改組後の地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の税額控除制度の適用がある場合には、現行と同様の調整を行う。
(注3)上記の「教育訓練費」とは、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるための費用で次のものをいい、上記の「比較教育訓練費の額」とは、前期及び前々期の教育訓練費の額の年平均額をいう。
イ その法人が教育訓練等(教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものをいう。)を自ら行う場合の外部講師謝金、外部施設等使用料等の費用
ロ 他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合のその委託費
ハ 他の者が行う教育訓練等に参加させる場合のその参加に要する費用
(注4)平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額については、計算の基礎となる継続雇用者の範囲を見直し、当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある雇用者で一定のものとするほか、所要の措置を講ずる。なお、計算の基礎となる継続雇用者がない場合には、上記①の要件は満たさないものとする。
(参考)自民党ホームページ : 平成30年度税制改正大綱