相続税の取得費加算の特例が見直しへ-平成26年度税制改正大綱解説
相続税の取得費加算の特例とは?
相続した土地を相続開始から3年10ヶ月以内に売却した場合に、相続した土地について納めた相続税を取得費に加算できる制度です。
現行税制では、土地については、売却した土地に対応する相続税だけでなく、他の売却しない土地にかかる相続税も売却した土地の取得費に加算でき、土地を多く相続した場合には、譲渡所得税がゼロになるケースもあります。
相続した土地A・B・Cについて納めた相続税が1億円なら、A土地のみを1億円で売却しても非課税枠が1億円ありますので、譲渡所得税はゼロとなります。
A土地を相続開始から3年10ヶ月以内に外部に売却できない場合には、親族や自分の会社に売却すれば、非課税枠を使えます。後に会社が外部に1億円で売却しても、購入金額が1億円ですから、税金はかかりません。
相続税の取得費加算の特例が見直しへ
譲渡所得税が軽減される「相続税の取得費加算の特例」制度が、平成26年度税制改正で見直されることとなりました。
相続した土地を売却した場合に、納めた相続税を取得費に加算できるのは、「売却した土地に対応する相続税だけ」となります。
A・B・Cの3つの土地を相続し、うち、A土地のみを売却した場合、現行税制では、A・B・Cについて納めた相続税をすべてA土地の売却時に取得費に加算できますが、改正後は、売却したAについて納めた相続税のみが取得費の加算対象となります。
この相続税の取得費加算の特例の改正は、平成27年1月1日以後の相続により取得した土地等について適用されます。
(税制改正大綱抜粋)
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例について、次の措置を講ずる。
相続財産である土地等を譲渡した場合の特例について、当該土地等を譲渡した場合に譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算する金額を、その者が相続した全ての土地等に対応する相続税相当額から、その譲渡した土地等に対応する相続税相当額とする。
(注)上記の改正は、平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した資産を譲渡する場合について適用する。