資金調達と「チェック・リスト」の活用
(1)「チェック・リスト」
最近、中小企業が資金調達を行う際に、金融機関から、日本税理士連合会の「中小会社会計基準適用に関するチェック・リスト」を要求されることが多くなっています。
「チェック・リスト」を提出することを条件に融資が実行されたり、金利が優遇されたり、融資手数料が無料になったりするケースがあります。
このことから、「チェック・リスト」は、上場企業等が受ける法定監査とは比較にならないとしても、財務諸表の内容について、第三者のチェックを受けるという意味で、一定の信頼を付与しているものといえます。
(2)中小企業会計基準の一本化
この日本税理士連合会の「中小会社会計基準」は、平成14年に中小企業庁が「中小企業の会計」を公表したことを受け公表されたものですが、日本公認会計士協会からも同様の会計基準が公表されていることもあり、実務上、どの基準に従うべきか混乱が生じていました。
これを受け、企業会計基準委員会(ASB)、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所の民間4団体は、共同で「中小企業の会計に関する指針」を平成17年8月中に作成し、その結果、中小企業の会計基準は一本化される見込みです。
今回の指針は、今後、中小企業が計算書類を作成する際のより所となるものです。
国会で審議中の会社法案に盛り込まれている会計参与が計算書類を作成するに当たっても、 今回の指針によることが推奨されると明記されています。
ただし、今回の指針に強制力はなく、指針によらずに計算書類を作成することも認められます。
(3)なお、上記指針が正式に公表されるまでは、日本税理士連合会の「中小会社会計基準」と整合性を持たせておくほうが、実務上はメリットがあるでしょう。
「中小会社会計基準適用に関するチェック・リスト」を活用した各種融資制度については、http://www.nichizeiren.or.jp/taxplayer/chusyo.html
をご参照ください。