消費税の簡易課税制度のみなし仕入率の見直し-平成26年度税制改正大綱解説
簡易課税とみなし仕入率とは?
その課税期間の前々年又は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができます。
この制度は、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等及びその他の事業の5つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。
(みなし仕入率)
第一種事業(卸売業) 90%
第二種事業(小売業) 80%
第三種事業(製造業等) 70%
第四種事業(その他の事業) 60%
第五種事業(サービス業等) 50%
みなし仕入率の見直し
平成26年度税制改正大綱において、消費税の簡易課税制度のみなし仕入率の見直しが行われることとなりました。
上記改正は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間について適用されます。
(税制改正大綱抜粋)
消費税の簡易課税制度のみなし仕入率について、次の見直しを行う。
① 金融業及び保険業を第5種事業とし、そのみなし仕入率を 50%(現行60%)とする。
② 不動産業を第6種事業とし、そのみなし仕入率を 40%(現行 50%)とする。
③ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成 27 年4月1日以後に開始する課税期間について適用する。
不動産賃貸業・仲介業は消費税額が1.2倍に、保険代理店業は1.25倍に
みなし仕入率の見直しの対象となる金融・保険業には、保険代理店業が含まれます。
また、不動産業には、不動産賃貸業・駐車場業・不動産管理業・土地建物売買業・不動産仲介業が含まれます。
このみなし仕入率の見直しにより、消費税額は不動産賃貸業や不動産仲介業では1.2倍に、保険代理店業では1.25倍になります。
簡易課税の事業区分は、おおむね日本標準産業分類を基礎として判定します。日本標準産業分類を基にした事業の種類区分(保険業や不動産業)については下記をご参照ください。
日本標準産業分類からみた事業区分(大分類-J金融業、保険業、K不動産業、物品賃貸業、L学術研究、専門・技術サービス業、M宿泊業、飲食サービス業)
日本標準産業分類については、下記をご参照ください。
日本標準産業分類(平成19年11月改定)(平成26年3月31日まで) 大分類 K 不動産業,物品賃貸業
(大分類総説抜粋)
不動産業
不動産業には,主として不動産の売買,交換,賃貸,管理又は不動産の売買,貸借,交換の代理若しくは仲介を行う事業所が分類される。主として自動車の駐車のための場所を賃貸する事業所も本分類に含まれる。
日本標準産業分類(平成19年11月改定)(平成26年3月31日まで) 大分類 J 金融業,保険業
(大分類総説抜粋)
保 険 業
不測の事故に備えようとする者から保険料の払込みを受け,所定の事故が発生した場合に保険金を支払うことを業とするもので,保険業(生命保険,損害保険),共済事業・少額短期保険業及びこれらに附帯する保険媒介代理業,保険サービス業を営む事業所が分類される。
消費税の軽減税率は「税率10%時に導入」と明記
消費税の軽減税率制度については、税率10%時に導入することが、税制改正大綱にて明記されました。
(税制改正大綱抜粋)
軽減税率
消費税の軽減税率制度については、「社会保障と税の一体改革」の原点に立って必要な財源を確保しつつ、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する。
このため、今後、引き続き、与党税制協議会において、これまでの軽減税率をめぐる議論の経緯及び成果を十分に踏まえ、社会保障を含む財政上の課題とあわせ、対象品目の選定、区分経理等のための制度整備、具体的な安定財源の手当、国民の理解を得るためのプロセス等、軽減税率制度の導入に係る詳細な内容について検討し、平成 26 年 12 月までに結論を得て、与党税制改正大綱を決定する。