ゴルフ会員権の譲渡損失の他の所得との損益通算の廃止-平成26年度税制改正大綱解説

平成26年度税制改正大綱解説

ゴルフ会員権の譲渡損失の他の所得との損益通算の廃止-平成26年度税制改正大綱解説

ゴルフ会員権の種類と会員権を譲渡した場合の課税関係

ゴルフ会員権とは、会員制度を採っているゴルフ場を、一般客よりも、 優先的に使用する権利の事をいい、大別して「預託金会員制」「株主会員制」「社団法人会員制」の3つの種類に分かれます。

預託金会員制ゴルフ会員権は、優先的施設利用権(プレー権)と預託金返還請求権を主たる内容とする債権的法律関係により成立している会員権となります。

「株主会員制」のゴルフ会員権は、ゴルフ場経営会社の株主になることによって優先的施設利用権が付与される会員権となります。

「社団法人会員制」ゴルフ会員権は、公益法人制度のゴルフ倶楽部で、一代限りの終身会員制度を採るところが多く、会員権の譲渡・相続は不可であり、国税庁もこうしたプレー権のみの会員権については評価しない旨の通達を出しています。

したがって、売買が可能なのは、原則として「預託金会員制」および「株主会員制」のゴルフ会員権となります。

両者は法的地位は異なりますが、これらの会員権を売ったときの所得は、いずれも譲渡所得として事業所得や給与所得などの所得と合わせて総合課税の対象となり、現行所得税法上、ゴルフ会員権を売ったことにより生じた損失は、事業所得や給与所得など他の所得と損益通算することができます。

ただし、ゴルフ場経営法人が破産した場合などゴルフ会員権の価値の滅失損は会員権の譲渡ではないので、その損失の金額は損益通算できません。

ゴルフ会員権の譲渡損失はその損失額が高額になるケースが多いので、売却により事業所得や給与所得など他の所得と損益通算すれば、大きな節税が可能となります。

ゴルフ会員権の譲渡損失の損益通算のタイムリミットは平成26年3月31日

いつかは廃止されるといわれてきた、ゴルフ会員権の譲渡損失の他の所得との損益通算。平成26年度税制改正大綱にてついに廃止となることが確定いたしました。

タイムリミットは平成26年3月31日まで。

譲渡損失を他の所得と損益通算する機会は、この損益通算の制度が廃止されると永久に使えません。

ゴルフ会員権の含み損は金額が大きいケースが多く、大型の節税が可能です。

お持ちのゴルフ会員権に含み損があり、譲渡損失の損益通算制度を利用して確実に節税を行っておきたい方は、来年の3月末までに売却しておきましょう。

なお、売却の相手先は、同族関係者や身内でも可能ですが、価格設定や代金決済、名義変更はきっちりしておきましょう。

 

(税制改正大綱抜粋)

譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を適用することができない生活に通常必要でない資産の範囲に、主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)を加える。
(注)上記の改正は、平成 26 年4月1日以後に行う資産の譲渡等について適用する。