役員賞与は税法上損金に算入できないが、その対策は?‐同族会社の節税対策[人件費編]
原則として、役員への賞与は損金に算入できませんが、事前に支給額を届け出ることにより、損金として認められる制度があります。これを事前確定届出給与といいます。
事前確定届出給与に関する届出は、原則として、次のイ又はロのうちいずれか早い日(新設法人がその役員のその設立の時に開始する職務についてその定めをした場合にはその設立の日以後2か月を経過する日。)が届出期限です。
イ 株主総会、社員総会又はこれらに準ずるもの(以下「株主総会等」といいます。)の決議によりその定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後である場合にはその開始する日)から1か月を経過する日
ロ その会計期間開始の日から4か月を経過する日
届出には、役員ごとに支給日と支給金額を記載します。この届け出た金額以外の支給をした場合には、その全額が損金として認められませんので注意が必要です。
ただし、この取扱いは、役員ごとに判定するものとされています。
(参考)国税庁ホームページ/質疑応答事例
「事前確定届出給与に関する届出書」を提出している法人が特定の役員に当該届出書の記載額と異なる支給をした場合の取扱い(事前確定届出給与)
【照会要旨】
当社は、所轄税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」を提出期限内に提出していますが、A役員に対してのみ当該届出書の記載額と異なる金額を支給しました。
この場合において、A役員に支払った役員給与は損金算入できなくなると考えられますが、A役員以外の他の役員に係る役員給与についても同様に法人税法第34条第1項第2号に該当しなくなり、損金算入できなくなるのでしょうか。
【回答要旨】
「事前確定届出給与に関する届出書」の記載額と同額を支給したA役員以外の他の役員に係る役員給与については、法人税法第34条第1項第2号に該当し、損金算入することができます。
(理由)
法人税法第34条第1項第2号では、「その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与」と規定しており、個々の役員に係る給与について規定しているものであることから、A役員(=「その役員」)以外の他の役員に対する給与に影響を与えるものとはなっておりません。
したがって、A役員に対して当該届出書の記載額と異なる金額の役員給与を支給したとしても、そのことを理由として、A役員以外の他の役員に対して支給した役員給与が損金不算入になることはありません。
【関係法令通達】
法人税法第34条第1項第2号
注記
平成24年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。