使用人兼務役員への歩合給を損金経理するための方法‐同族会社の節税対策[人件費編 ]

使用人兼務役員への歩合給を損金経理するための方法‐同族会社の節税対策[人件費編 ]

従業員に対して、その実績に応じて「歩合給」を支給するケースがあります。 しかし、役員の場合は、臨時的な給与、つまり歩合給は賞与となり、原則的には損金に算入できません。

ただし税法上、その歩合給の支払いが使用人兼務役員へのもので、支払方法が使用人と同じ基準の場合に限り、報酬と認めて損金算入することができるとしています。
部下の販売実績等に基づいて支給している場合には、従業員と同一基準による支給に反しますから、損金算入はできません。あくまで役員個人の実績である必要があります。

なお、使用人兼務役員の初任給(報酬)基準は以下のようになります。
①従業員の最高額者の給料の25~30%増しとする
②給料(報酬)の25~30%までを役員分、70~75%を従業員分とする
③社長の初任給(報酬)の42~45%とする

(参考) 国税庁ホームページ/質疑応答事例

役員に対する歩合給(定期同額給与)

【照会要旨】

運送業を営む当社の専務取締役Aは、役員としての職務のほか、使用人と同様に配送業務にも従事しています。当社は、Aに対し、月額の固定給のほか、月々の各人別の運送収入に応じた歩合給を支給することとしていますが、この歩合給は法人税法第34条第1項第1号(役員給与の損金不算入)に規定する定期同額給与に該当しますか。
なお、Aに対する歩合給の支給基準は、使用人に対する支給基準と同一です。

【回答要旨】

照会の歩合給は定期同額給与に該当しません。

(理由)
役員に対して支給する定期給与(その支給時期が1月以下の一定の期間ごとであるものをいいます。以下同じ。)のうち次に掲げるものは、定期同額給与として、これを支給する法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されます(法法34①一、法令69①一)。
イ 当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの
ロ 一定の改定がされた場合における当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
以上のとおり、損金算入の対象となる定期同額給与は、定期給与のうち当該事業年度の各支給時期(一定の改正があった場合には改定前の各支給時期及び改定後の各支給時期)における支給額が同額である給与をいいますから、たとえ一定の算定基準に基づき、規則的に継続して支給されるものであっても、その支給額が同額でない給与は、定期同額給与には該当しないこととなります(法法34①一)。
したがって、各月の支給額が異なることとなる歩合給や能率給等は、法人税法第34条第1項第3号に規定する利益連動給与のうち一定の要件を満たすものに該当するものを除き、損金の額に算入されません。
なお、ご質問のように、固定給の部分と歩合給の部分とがあらかじめ明らかとなっている場合は、固定給の部分については、定期同額給与の要件を満たす限り、損金の額に算入されます(法法341一)。
また、照会の場合とは異なりますが、歩合給や能率給等は、一般には、使用人兼務役員に対して支給されるケースが多いものと思われ、使用人兼務役員に支給する使用人としての職務に対する給与について歩合制を採用している場合には、不相当に高額なものに該当しない限り、原則として、損金の額に算入されることになります(法法34①②)。

【関係法令通達】
法人税法第34条第1項第1号、第2項、法人税法施行令第69条第1項第1号

注記
平成24年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。