使用人兼務役員への賞与を損金経理する方法‐同族会社の節税対策[人件費編]
使用人兼務役員とは、税法上特有の概念というべきものであって、商法上にはこの名称はありません。税務上、通常の仕事は続けながら、役員としての地位も手に入れたという立場の人間を「使用人兼務役員」と呼んでいます。部長、課長、支店長、工場長など、会社の規程で定められた地位を持つ人が役員になった、というようなケースです。
ただし、使用人としての肩書きがついていれば、何でもいいというわけではありません。 たとえば、総務担当とか経理担当というのは、使用人としての職制上の地位ではなく、会社の特定部門の職務を統括していると判断されますので、使用人兼務役員とはみなされません。 また、社長である代表取締役や非常勤取締役も、その性格から使用人兼務役員とはなれません。
この役員に賞与を支給するときのポイントは、損金に算入される使用人部分の賞与をどう払うか、この一点につきます。一般的に、次のような条件で使用人兼務役員に賞与を支給すれば、損金に算入することができます。
①従業員と同じ日に支給している
②費用として経理処理している
③支給額が使用人の賞与として妥当である
①については、給与台帳、源泉所得税預り金の発生日、仕訳伝票での費用処理、源泉徴収税額の納付日などで立証します。
②については、仕分伝票の借方科目が従業員賞与となっていることで立証します。
③については、部課長(最高幹部役員)と比べて妥当かどうかがポイントになります。