法人実効税率「20%台」への引き下げ|平成28年度税制改正解説
法人実効税率「20%台」の実現
平成28年度税制改正では、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」という考え方のもと、平成27年度に着手した成長志向に重点を置いた法人税改革の最終目標でもある法人実効税率を20%台まで引き下げることを改革2年目にして実現する運びとなりました。
法人税改革において、法人税率は平成27年度に25.5%から23.9%に引き下げられていましたが、今回の平成28年度税制改正おいて、これを平成28年度に23.4%に、平成30年度には23.2%に引き下げることとされました。
その他、地方税等も合わせた改正により、国・地方を合わせた法人実効税率は、平成26年(34.62%)⇒ 平成27年度(32.11%)⇒ 平成28年度(29.97%)⇒ 平成30年度(29.74%)へと引き下げられることになりました。
≪法人実効税率(標準課税ベース)≫
現行 平成27年度 | 平成28年税制改正 | ||
---|---|---|---|
平成28年度 | 平成30年度 | ||
法人税 | 23.9% | 23.4% | 23.2% |
地方法人税 | 1.052% | 1.030% | 2.390% |
地方法人特別税 | 2.899% | 2.899% | 廃止 |
事業税 | 3.1% | 0.7% | 3.6% |
住民税 | 3.083% | 3.019% | 1.624% |
合計: | 34.033% | 31.048% | 30.814% |
実効税率 | 32.11% | 29.97% | 29.74% |
中小法人の法人実効税率
現行、中小法人(資本金1億円以下の法人)の法人税率(本則税率)は、年800万円以下の金額について19%に軽減されており、さらに租税特別措置法により15%に軽減されています。
※平成27年度税制改正において、租税特別措置法による軽減税率15%は、2年延長(平成29年3月31日までに開始する事業年度まで)されている状況です。
≪中小法人の法人税の税率≫
現行 平成27年度 | 平成28年度税制改正 平成28年度 | ||
---|---|---|---|
中小法人 | 年800万円以下の金額 | 15.0% | 15.0% |
年800万円超の金額 | 23.9% | 23.4% |
≪中小法人の法人実効税率(標準課税ベース)≫
現行 平成27年度 | 平成28年度税制改正 平成28年度 | ||
---|---|---|---|
中小法人 | 年400万円以下の金額 | 21.42% | 21.42% |
年400万円超800万円以下の金額 | 23.20% | 23.20% | |
年800万円超の金額 | 34.33% | 33.80% |
(平成28年度税制改正大綱抜粋)
法人実効税率「20%台」の実現
法人税率(平成 27 年度 23.9%)を、平成 28 年度に 23.4%、更に平成 30 年度に 23.2%に引き下げる。
地方法人課税においては、大法人向けの法人事業税の外形標準課税について、平成 27 年度税制改正において平成 28 年度に 8 分の 4 とすることとしたが、地域で雇用を支える中堅企業への影響に十分配慮しつつ、平成 28 年度に 8 分の 5 へと拡大する。これとあわせて、所得割(地方法人特別税を含む。)の標準税率(平成 27 年度 6.0%)を、平成 28 年度に 3.6%に引き下げる。
この結果、国・地方を通じた法人実効税率は平成 28 年度に 29.97%となり、目標としていた「20%台」を改革2年目にして実現する。更に平成 30年度には、29.74%となる。
(参考)
自民党ホームページ : 平成28年度税制改正大綱