相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地は小規模宅地等特例の対象外に – 平成30年度税制改正 –
相続税の申告において、対象地について小規模宅地等の減額特例を受けることができれば、相続税を大幅に抑えることが可能です。
小規模宅地等の減額特例には、様々なケースがありますが、貸付事業用宅地等に該当する宅地等については、評価額が200㎡まで5割減額されます。
「貸付事業」とは、「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業」及び事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいます。
自宅について小規模宅地等の減額特例を受けることができないケースでも、賃貸に出せば、敷地が貸付事業用宅地等に該当し、評価額が200㎡まで5割減額されます。
また、空き地にアスファルトを敷いて区画整理し月極駐車場として貸し付けたり、コインパーキング用に事業者に貸し付ければ、評価額が200㎡まで5割減額されます。空き地にアパートを建築した場合も同様です。
現行税制では、相続開始直前に貸付事業に供された宅地等についても小規模宅地等の減額特例の適用を受けることができますが、平成30年度税制改正において、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等については、小規模宅地等の減額特例の適用を受けることができなくなりました。
ただし、相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供したものは除かれます。
この改正は、平成30年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。ただし、この改正は、同日前から貸付事業の用に供されている宅地等については、適用されません。
【平成 30 年度税制改正大綱(抜粋)】
〔廃止・縮減等〕
〈相続税〉
(1)小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直しを行う。
① 持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者の範囲から、次に掲げる者を除外する。
- イ 相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
- ロ 相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者
② 貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものを除く。)を除外する。
③ 介護医療院に入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等について、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして本特例を適用する。
(注)上記の改正は、平成30 年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。ただし、上記②の改正は、同日前から貸付事業の用に供されている宅地等については、適用しない。その他所要の措置を講ずる。
(参考)自民党ホームページ : 平成30年度税制改正大綱